1997年度私選ベストSMビデオ・ベスト女優

 

作品賞
「奴隷秘書 17」 森原由紀 (大沼栄太郎 シネマジック)

最優秀主演女優賞
ナオミ(『狂い泣き・乱れ縄』の演技により)

SMビデオベスト10
1「奴隷秘書 17」 森原由紀 大沼栄太郎 シネマジック 202.8
2「白い肉魔・奴隷墜ち4」  桜井清美 夢流ZOO アートビデオ 200.0
3「若妻縄不倫・48時間の調教」有森いずみ TOHJIRO シネマジック 195.6
4「マルチの女」 水原美々 川村慎一 シネマジック 194.0
5「狂い泣き・乱れ縄」 ナオミ 石川 欣 奇譚クラブ 189.4
6「チャイナドール V」 メイファ 大沼栄太郎 シネマジック 183.3
7「奴隷女教師・恥辱の肉体授業」水原美々 秋山 豊 シネマジック 183.0
8「インモラル女高生 6」 北原まゆみ 川村慎一 シネマジック 181.7
9「白衣猟奇」 結城綾音 石川 欣 奇譚クラブ 180.0
10「奴隷女教師・美肉の偏差値」 相原リサ 河津伸介 シネマジック 179.7
(注:「狂い泣き・乱れ縄」は上下2巻で1本としました)

解説

「シネマジックの強さ、アートの低迷、奇譚クラブの躍進」

97年は日本経済の強さを示す神話が完膚なきまでに崩れ去った年であった。都市銀行が倒産し、バブル経済の主役であった四大證券の一角が廃業に追い込まれた。また、酒鬼薔薇に象徴されるように、奇怪な事件が多発し、ストーカーという言葉も一般的に使われるようになった。そんな年を反映してか、SMビデオにも「利益供与」「マルチ商法」「ストーカー」を題材とした作品が何本か作られた。ただ、金を体で返させるという題材は、もともとSMとは切っても切れない関係にあり、金融システム崩壊がSMビデオに及ぼした影響は非常に少ないといえよう。
また、猟奇的な殺人事件で、ホラービデオの貸し出しを自主規制したビデオ店が増えたが、SMビデオには及ばなかった。したがって、97年のSMビデオ界では決定的となる事件もなく、シネマジック、アートビデオ、奇譚クラブのレーベルを中心に数多くの作品が作られた。

ベスト10を見ると、相変わらずシネマジックが強い。
1位の「奴隷秘書 16」は主演に森原由紀を起用し、ギルガメのレギュラーとなるような、SMとはおよそ縁遠いであろう女の子と、明智伝鬼という苦痛責め中心の調教師の取り合わせが見事に成功した作品だった。
2位の「白い肉魔・奴隷墜ち4」は今年度、唯一ベスト10に入選したアートの作品で、喪服の未亡人を速水と山本のふたりが調教するというもの。主演の桜井清美は地味な女優だが、立ち縛りでの調教の時は、つま先で立たせる等、夢流ZOOの演出が冴え、ベスト2となった。ただ、アートの作品での入賞はこれ1本であり、全盛期に比べると寂しさを感じる。アートの場合、斉藤茂介、峰一也、夢流ZOOの3本の監督を有しているが、夢流以外は凡庸な監督であると言わざるを得ない。特に、撮影中、スタッフの声が録音に入る場合もあり、猛省を促したい。また、女優についても、素人を使っている場合が多いが、使いすぎるのも考え物である。

シネマジックの場合、水原美々、メイファ、有森いずみ等の女優が数本のビデオに出演したが、アートの場合はひとりの女優が数本のビデオに出演する例が少ない。視聴者は、素人よりも質の良い女優を求めているのではないだろうか。今年は監督と女優を育成に尽力して欲しい。
3位以降にはシネマジックの作品が6本入賞している。「若妻縄不倫・48時間の調教」(3位)、「マルチの女」(4位)、「チャイナドール V」(5位)、「奴隷女教師・恥辱の肉体授業」(6位)、「インモラル女高生 6」(7位)、「奴隷女教師・美肉の偏差値」(10位) 相原リサと共通して言えるのは、どれも女優がそこそこ美人で、責めも快楽責め、苦痛責め両方ともバランス良くあり、かつカメラワークの技術が優れているということか。監督もTOHOJIRO、川村慎一、大沼栄太郎、秋山豊、河津伸介とひとりの監督に偏っていない。老舗の強さが感じられた。女優もすべてこれ以外の作品にも主演しており、またタイプもそれぞれ違うことから、安定したファンをつかんでいると思う。
一方、奇談クラブでは、5位にナオミ主演の「狂い泣き・乱れ縄」、9位に結城綾音の「白衣猟奇」が入っている。5位は上下2巻の大作であり、ナオミの他、桜木亜美、田崎由希等の豪華キャストでの作品。その中でもナオミが責めに狂い泣く姿は見ごたえがあった。事実上、これが彼女の引退作品であり、この作品でナオミは私選女優ベスト10の堂々第1位を獲得した。ただ、作品そのものは実験的要素もあり、評価が分かれるところだろう。9位に登場した結城綾音は殺された慶応出のオーナーが経営していたSMクラブの元ホステス。「白衣猟奇」は彼女のM性が発揮され、迫力があった。引退した女優の最後の作品と新人女優の最新作が共にベスト10入りを果たすところなど、今後の奇譚クラブの躍進は期待出来るかもしれない。