懐かしのSMビデオ劇場 第8回 「隷奴・亜理沙」(アートビデオ)

海外転勤の慌しさもあって、本当に久しぶりの「懐かしのSMビデオ劇場」となってしまいました。今回は予告通りアートビデオの傑作「隷奴・亜理沙」を取り上げます。
この作品が発売されたのは1988年。私は立川の個室ビデオ屋で見ました。黒田透のセリフが気に入り、何回も見なおしたのを覚えています。アートビデオの絶頂期はだいたい1988年頃までと思います。それ以降は黒田透が出演しなくなり、アートビデオは急激に衰退します。87年から88年にかけてアートビデオは「肉ただれ」(高瀬広美)「恥肉炎上」(島崎梨乃・中川明菜)「美畜」(小泉ケイ)といった名作を発売しました。この作品も、そのような時期に発売されたビデオで、まさにSMビデオのお手本のような作品です。
主演は亜理沙。生年月日不詳。プロフィールはT165cm B85cm W60cm H88cm 、「姦激[SF]」「淫画抄[SAM]」「隷奴・亜理沙[ART]」「阿修羅[ART]」「豊丸VS亜里沙[PY]」「豊丸・亜里沙の盗み撮る[CDY]」「激マン亜里沙[アテナ]」「消し忘れ亜里沙」「性熟鬼 亜里沙[V&R]」「激姦[SEI]」とあります。当時は淫乱美女AV女優として支持され、特に豊丸とのビデオでの淫乱合戦は週刊誌でも話題になったと記憶しています。SM作品は2本だけですが、どちらとも印象的な作品で、SMビデオのオールドファンにとっては忘れられない女優となっています。スタイルは抜群、淫乱といわれる割には上品な顔立ちで「SM秘小説」「SMマニア」等の三和出版のグラビアでも活躍していました。
責め師として、黒田透と名和徹のふたりが出演します。黒田透はこの頃が役者としてももっとも油が乗っていた時期と思います。演技力も備わり、発せられるセリフすべてがシーンを嗜虐的なものにしていました。名和徹については以前、常連さんの羞恥臭さんが紹介されていましたので、それをそのまま引用致します。「ところで以前、アートビデオでSMの大御所役(確か『おやじさん』と黒田に呼ばれていました)で出演する名和徹氏の話題があがったと思うのですが。一昔前のSMスナイパーの誌上掲示板には『名和徹のみんなで縛ろう会』というのがあったと思います。彼は縄師なのでしょうかね?アートのホームページを見たら監督もしているようです。彼の監督作品『愛虐奴隷2田中優子』は見たことがあります。田中が起こした交通事故のせいで盲目になってしまった山本竜二が、田中をソープで働かせ、かつプライベートでも慰みものにするという話だったと思います。仰向けで腰を持ち上げた状態に吊り縛りをしての蝋燭+鞭責めや、騎乗位ファックで田中の豊満な乳房が揺れるシーンは悪くなかったと記憶しています」
かなりの年配の人で、一番最近ではアートビデオの「極道の贄2」でやくざの大御所として出演していました。因みに羞恥臭さんの触れられた「愛虐奴隷2」は鞭責め、蝋燭責めの混合責めで田中優子(山口久美子名義でシネマジックの『被虐のヒロイン』にも主演)が泣きじゃくる傑作でした。

ビデオは名和徹から調教を依頼された黒田透の亜理沙への責めを描きます。詳細なことは覚えていませんが、亜理沙は何らかの理由でM女として働かなければならない状況に追い込まれています。ビデオの冒頭、全裸で立ち縛りに緊縛された亜理沙のシルエットが障子に映り、木刀で乳房を嬲られたり、鞭で叩かれて号泣している姿がわかります。「どうだね。調教は進んどるかね」と名和が聞き、「任せておいてください。約束の期限までにはM女に仕立て上げます」と黒田が答えます。SMビデオでシルエットを使ったシーンは珍しいと思いますが、亜理沙の悶え声とスタイルの良さ、責めにゆれる乳房と乳首、責めから逃げようとする仕草がシルエットでも良く伝わってきて、嗜虐的な冒頭でした。
この作品の責めのシーンは主に4つに分かれます。1)蝋燭とバイブの複合責め2)狸縛りにして吊りバイブ責め3)大の時で立ち縛りにした亜理沙に生卵をぶつけ、ファック4)バイブ、浣腸、クリップ、鞭の複合責め。このうち2)と3)のシーンはあまり好きではありません。1)のバイブ責めの凄まじさを見たら2)のバイブ責めは大したことなく、3)のように食べ物を使った責めは個人的に見たくありません。したがって、勝手ながら今回は1)と4)のみについて詳細に紹介したいと思います。実際、時間的にも1)と4)の責めの時間が長く、2)と3)は付け足しという印象が強いと考えます。

○蝋燭とバイブの複合責め
全裸で右足と右手、左足と左手をそれぞれ括られ、腰を吊られて「あ、あぁ」と悶える亜理沙が映ります。この縛り方は非常に嗜虐的で、亜理沙は左右のつま先で身体を支え、腰が吊られているため、脚が大きく開かれている態勢になっています。長い黒髪が扇型に赤い絨毯に広がります。また、バランスが取り辛いのか、亜理沙の身体は常に揺れています。
黒田が蝋燭を持って登場します。蝋燭は赤い3本の蝋燭がガムテープでひとつにまとめられています。「苛めてやるぞ」と黒田は蝋燭を床に置き、亜理沙の左の乳房を鷲づかみにします。そして、左の乳首を揉み、引っ張り、円を描くように嬲ります。その時の亜理沙の表情と悶え声がすばらしいです。口を時々大きく開けて仰け反り、「はぁ、はぁ」と息を荒くし、乳首を嬲られるにしたがって、声がだんだんと高くなってゆきます。また、黒田の責めながら発する次のセリフは個人的にはもっとも好きなセリフです。
「乳首を立ててみろ。女はなぁ、感じなければ乳首は立たないんだぞ。いくら、声や演技でごまかしても駄目だ。『苛められて嬉しい。かわいい女になります』女はこういうところで表現するんだ。いろいろなご主人様がいるからなぁ。フェミニストもいれば、サディストもいる。すべてのご主人様にかわいい女になるんだぞ。感じていいんだぞ。感じろ」
黒田は両方の乳首を掴み、引っ張ります。亜理沙はイキそうな声を出し、悶えます。黒田が性器をまさぐると亜理沙は身体を大きく仰け反らせます。「よし、濡れているな」という黒田の落ち着いた声が場を盛り上げます。性器を愛撫され、亜理沙は悶えます。その悶え方は自然でかつ激しく、刺激的なシーンです。
そして蝋燭責めが始まります。蝋涙は3本の蝋燭に十分に溜まっていて、まず右の乳房に流れ落ちます。そのときの亜理沙の反応はすばらしいです。身体を左右に揺らし、喉の奥から叫び声を上げます。蝋涙が落ちるたびに身体を仰け反らせ、狂います。責めはだんだんと下半身に近づき、蝋涙は性器をも責めます。亜理沙は苦しみますが、その声には非常に色気があります。また表情もかわいらしく、上品な顔立ちと責めに悶える淫乱さのギャップは恐ろしいほど嗜虐的です。
黒田は3本の蝋燭を亜理沙のへその辺りに置き、金色の熊ん子をゆっくりと亜理沙の膣内に挿入します。亜理沙の声は完全に変わり、快楽から来る悶え声を上げ始めます。膣からはぴちゃぴちゃという音がして、それが亜理沙の悶え声と妙に響き、場面を嗜虐的にしています。亜理沙のエクスタシーが近づくと、黒田は再び蝋涙を亜理沙に浴びせます。亜理沙は喉の奥から「ひぃ」と叫び、苦しみます。以降、バイブ責めと蝋燭責めは交互に続けられ、亜理沙の叫び声は苦痛と快楽を往復します。黒田はバイブ責めを続け、亜理沙は激しくエクスタシーに達します。その時、亜理沙の右の口元から一条の涎が流れ、右の耳まで達します。イッタ直後、亜理沙は痙攣し、叫び声とともに大きく仰け反りこのシーンは終わります。

○バイブ、浣腸、クリップ、鞭の複合責め
全裸で後ろ手上下縄縛りで緊縛された亜理沙は左足を大きく吊られ、辛うじて右足で身体を支えている状態です。SMビデオ史上、立ち縛りでこれほど開脚されているシーンはないと思います。殆ど180度に近い確度で開脚され、立ち縛りにも拘らず性器とアヌスが完全に露出されています。上半身は前に傾き、体を起こそうとすると、さらに開脚された内股に負担がかかるという非常に残酷な立ち縛りです。
「おまえのお尻の穴はなかなかかわいい形をしてるんだぞ」と黒田はワセリンを指につけ、亜理沙のアヌスに人差し指を入れピストンさせます。亜理沙は苦痛とも悶えともつかない声で喘ぎます。亜理沙の長い髪はひとつに束ねられ、髪で顔が隠れないような配慮がされています。名和が金属製の鈴付きクリップをふたつを持って登場し、亜理沙の美しい乳首に装着します。亜理沙は叫びますが、声に艶があります。名和は亜理沙の性器をまさぐり「お、濡れているよ。この娘は」と驚いた声をあげます。ふたつのクリップはタコ糸で結ばれ、名和はそれに錘を付けて行きます。亜理沙の顔は苦痛でゆがみますが、どことなく色気があります。錘は次々に付けられてゆき、亜理沙のくちびるから「重たい」という言葉が漏れ、苦痛から少しでも逃れようと身体を起こそうとしますが、その態勢も辛そうです。黒田は「鈴を鳴らせ」とアヌスへのピストン運動を激しくします。色っぽく喘ぎながら、亜理沙は全身を激しく揺らし残酷な鈴の音が響かせます。正にSMという嗜虐的なシーンです。
黒田は200ccのガラス浣腸器を取り出し、注入を始めます。この頃のアートビデオの浣腸シーンは液体が入っていくシーンと女優の表情が重なって撮られていました。このシーンでも液体が少しずつ亜理沙へ注入されてゆく様子に重なり、亜理沙が喘ぎながら「いや、いや」と叫び、首をいやいやして悶え狂う表情が映ります。
1本目の浣腸が終わったところで、名和は鞭で亜理沙のお尻、乳房、内股を責めます。「ひぃ、ひぃ」という亜理沙は狂い、上半身を起こし鞭から逃げようとします。そのとき、クリップの重みで乳首が下に引っ張られます。黒田は赤い蝋燭を亜理沙の膣内に挿入します。亜理沙は喘ぎますが、蝋燭を床に落としてしまいます。「落としたな」と名和の鞭が亜理沙を容赦なく責めます。乳房が鞭で揺れますが、クリップは乳首をしっかりと噛み、外れず乳首が残酷に歪みます。黒田はピンクの熊ん子で亜理沙のクリトリスを責めます。「許して」と哀願の声がでますが、黒田は「駄目だ」と責め続けます。
黒田は浣腸器に牛乳を注入します。その間、名和は亜理沙を鞭で責め続けます。「ひぃ、ひぃ」という亜理沙の叫び声。黒田は2本目の浣腸を亜理沙に注入してゆきます。「お願い、止めて。出ちゃう」という亜理沙の懇願の声も聞かず、牛乳は注入されてしまいます。
「出、出ちゃう」「駄目だ、閉めろ」「出ちゃう」「10まで数えろ。我慢しろ」「い、1、2」「早い。もっとゆっくり数えろ」「い、1、2。あぁ」「閉めろ。今いくつだ」「3、4、5。あぁ、あぁ」「いま、いくつだ。数も数えられないのか」「ろ、6」「そうだ、閉めろ。出したら承知しないぞ」。亜理沙は漸く10まで数え終わります。「出したいか」「出、出したい」「よし、出させてやる」と黒田は洗面器を亜理沙の尻に当てます。「外に漏らしたら、承知しないぞ」という声を聞きながら、亜理沙のお尻から白い液体が勢い良く噴出します。

以上、非常にオーソドックスな作品ですが、亜理沙の美しさと反応、黒田透の責めの上手さが見事に絡み合い、アートビデオ最高の傑作になっています。この作品はアートクラシックに出ていますので、機会があれば是非ご覧になってください。結婚を機会にSMから足を洗おうと思っていた西村ですが、この作品を見てますますSMにはまってしまいました。

なお、亜理沙の他のSM作品「阿修羅」もバイブ責め、クリップ責め、蝋燭責め、性器への直接鞭責めとバラエティに富んだ責めを楽しめる作品です。ただ、この作品は亜理沙の浮気を刑期を終えた黒田透が浮気相手とともに折檻するという設定で、縛られて転がされている浮気相手の男が非常に目障りでした。したがい、個人的には「阿修羅」より「隷奴・亜理沙」の方が遥かに好きです。