筒井康隆著 「パチンコ」風
投稿者: 顔固 06/22[Sun] 10:27:48 <No.6088>
いまどき珍しく、ステッキをついて、その温厚そうな紳士が店に入ってきたのは、6月の初旬、梅雨入り前の晴天そんなある日の、午後3時過ぎであった。
紳士は、黒いマントに博士帽で身をつつむ異様ないでたちで、しかも旅行用の大きなトランクを引いていた。
こんな奇妙な訪問者は初めてなので桐山は、よく覚えている。
紳士は、手馴れた仕草で一通りビデオを選びカウンタにやってきた。
そして桐山に、’大量おまかせコース2500円’を注文した。
週末はよく出る注文だが、火曜日の午後3時としてはこのコースを選択する客は少なかった。
カゴにイッパイビデオを、大切そうに抱え紳士は個室に消えていった。
2時間して、紳士がでてきた。ジャージ姿に着替えている。。。
そして、桐山に言った。「おかわり・・・」
それから2日間・・・
なんとその紳士は、ずっと個室に入ったきり、ビデオを見続けているのだ。
こんあ凄い客は、初めてだ。
少々のことには慣れている桐山も今回ばかりは焦った。
紳士は時折、携帯電話で奇妙な東南アジア系の言語でビジネスの話をしている以外はビデオを回し続け、その本数はゆうに50本を越していた。
食事はすべて出前を頼み、どうやら食事中もビデオを見続けているらしい。
そもそも、ビデオ屋で出前を頼む客も珍しい。
とにかく、いくら24時間営業の個室ビデオ屋だと言っても56時間連続で居座り続けた客など今までに居なかった。
さんざん考えた挙句、桐山はさすがに、「一旦お引取り願おう・・・」と心に決めた、とまさにそのときに、あの紳士は、来たときの正装に着替えて個室を出てきたのだった。
清算を終えながら、その紳士は桐山に訪ねた。
「おみゃーさん、これからDVD買いにいこ、思とるんやけどどえりゃあ安いとこ知ってりゃあせんかね?」
桐山は、秋葉原の店を紹介した。
「ありがとね。ちょーどよかったわ。これからそっち行くとこだがね。よーけ見させてもらってありがとね・・・」
桐山には、店を出てゆくその紳士の背中が何故か、まぶしく光って見えたのだった・・・。 (完)
皆さん、オフ会レポート有難うございました。
まるで手にとるように現場の状況がわかりました。
しっかし、金井さんの絵は凄いですね。
一枚の絵がすべてを伝えてくれる・・・そんなすごいことがあるのですね。
前から「やるな」とは聞いてましたが、これほどとは・・
まさに「やりよったな!」ですね。(笑)
すべてのレポートに感謝、世話役の皆様お疲れ様でした!!
めっちゃ噛めレスですが、面白いとついついレスを忘れてしまいますだ。